高機能がん治療
放射線を照射されたがん細胞から免疫機構の特異的標的たんぱくが漏れ出てきます。このとき、免疫システムは標的たんぱくを認識します。そしてキラーリンパ球も活性化します。この放射線治療直後のタイミングで悪用されているチェックポイントを無効化することで、照射されなかった病巣も攻撃される報告が出ています。
がんが進行すると免疫応答が劣勢な状態になります。細胞毒性のある抗がん剤によっても活動力は低下します。このなかでナイーブT細胞、NK細胞等がん細胞を攻撃する免疫細胞の働きも弱体化する、攻撃できない、チェックポイントを悪用されるといった悪循環に陥ります。これらの免疫機能全体を活性化させるためのひとつとして、自分の血液から免疫細胞を分離・増殖させて体内に戻す治療により悪循環を食い止め、正しい連鎖の状態に戻すことが期待出来ます。自分の体内の免疫細胞を使って治療を行うため、副作用が少ないのが特徴です。自分の免疫の力によってがんを治療する治療法ですが、免疫療法に放射線治療を組み合わせることで免疫療法の効力を高めることが出来ます。
放射線治療も化学療法も効かないような悪性度の高いがんでも、放射線治療と免疫療法を併用した放射線免疫療法では、治療効果が見られる場合があります。また、放射線で焼ききれない場合や転移・再発を防ぐため、免疫療法を行うことにより副作用を最小限に抑えた治療をしていくことが可能です。
外科手術
がん病巣を外科的に除去する方法です。最新の方法は、より低侵襲で短期日の入院ですみ、小さな創で体力の弱った方にも受けられるようになりました。最新の手術支援ロボットであるダヴィンチXiを用いた高精度な低侵襲手術や、単孔式腹腔鏡手術などがあります。
放射線療法
トップランクの治療機器(サイバーナイフ・トモセラピー)の最新機を用い、低侵襲で最大効果を出す放射線治療を行っています。強い線量で短期的に治療する方法やインターベンション技術を組み合わせ、正常組織を温存して治療する方法、免疫療法との組み合わせなど、最先端の機能的な放射線治療を行っています。前立腺がん、乳がんは切らずに治す方法を行っており、質の高い方法と治療結果によって患者様に喜ばれています。乳がんの術後照射では、心臓への線量が二十年後の虚血性心疾患リスクに繋がることがこれまでの照射方法での問題ですが、精密な治療でそのリスクを回避できます。2018年にはProteusOneでの陽子線療法も加わります。陽子線を活用して肺機能の強く低下した患者様にも効果的な治療を提供することができるようになるでしょう。化学療法
最新の抗がん剤や、より優れた効果が期待される分子標的薬治療の登場により、化学療法も進化しています。いずれもがん細胞の遺伝子検査を行って最適な薬剤を選択します。場合によっては、国内に無い薬剤の使用も検討していきます。免疫療法
近年、従来の三大療法(手術、放射線、化学)に加えてがん免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤など)も大きな成果を上げており、保険適用拡大も進んでいます。人の体の中には免疫機能による破壊が自分の細胞に向かわないようにブロックする仕組み(免疫チェックポイント)があります。このチェックポイントシステムを悪用することを身に着けたがん細胞は、キラーリンパ球でも攻撃できません。この時にチェックポイントを阻害する薬剤(抗PD-1抗体医薬:オプジーボなど)を与えるとがん細胞が「悪用」できなくなります。オプジーボの登場は新しい免疫療法の夜明けです。種々の免疫療法と組み合わて最新のがん治療が出来ます。放射線治療との組み合わせも期待出来ます。浸潤や進行がん、末期の患者様にも効果を認めています。