陽子線治療(2018年8月治療開始)

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陽子線治療は、世界でも最先端の粒子線による治療の一つとして注目されています。当院が導入した「プロテウスワン(ProteusOne)」は陽子線治療機のトップメーカーであるIBA社製の最新機種であります。陽子線治療の施設としては、国内15施設目※となります。またサイバーナイフ・トモセラピー・陽子線治療が揃う施設は、国内では当院だけとなります※。この装置は陽子線治療機の中でも屈指の小型設計であり、札幌市の交通アクセスもよい場所に設置することが可能となりました。
※2018年1月時点

  1.陽子線とは
放射線と一言でいっても様々あり、医療で使われているものも数種類あります。中でも治療効果や副作用の低減で近年注目を集めているのが粒子線と呼ばれるものであります。
陽子線は粒子線の一つであり、元となるのは水素原子から電子を取り除いた「陽子」であります。陽子は加速器と呼ばれる大型装置で高速に加速させると高いエネルギーをもちます。このエネルギーを持った陽子を「陽子線」と呼びます。
 2.陽子線の特徴 (従来の放射線治療の違い)
放射線治療は放射線がもっているエネルギーをがん細胞に与えることで治療効果が生まれます。従来の放射線治療(エックス線)は人体に入った直後に一番エネルギーが大きく、体を通過する中で徐々に減っていきます。陽子線の場合、人体に入った直後は小さく、あるところで急激に大きくなり、それ以降エネルギーはなくなります。(ブラッグピーク効果)このエネルギーが最大となる点を病巣に一致させることで陽子線治療が実現します。従来の放射線治療に比べ、よりピンポイントの治療効果が期待でき、周囲の正常組織への影響を最小限にした効率的な治療であります。 
3.プロテウスワンの技術(ペンシルビーム&スキャニング)
病巣を覆うほど太いビームの場合、病巣の辺縁を精度良く治療するため、ビームの形を病巣に合わせて形作らなければならないですが、プロテウスワンは5mmほどの細い陽子線ビームで塗りつぶすように当てます。細い陽子線ビームの先端で病巣を描いていくように治療する姿からペンシルビームと呼ばれています。
病巣を層に分けて、1つ1つの層ごとにペンシルビームを高速で動かしながら塗り絵の様に照射します。(スキャニング照射)
 4.診察から治療の流れ
かかりつけの病院からの診療情報提供書や画像データをもとに診察を受けて頂きます。病巣を把握し、陽子線治療の適応となるかを複数の診療科の医師が総合的に判断致します。(キャンサーボード)適応となる場合は治療の準備を進めていきます。
 従来のX線治療同様に、毎回同じ姿勢を再現できる様な固定具を作成し、固定具を装着した状態で治療計画用のCTを撮影します。病変の種類や部位によってはMRIが必要になることもあります。これらの画像をもとに陽子線を当てる角度や深さ、線量や照射回数などの治療計画を立てます。立案した治療計画が実際に人体に照射しても問題無いかの精度検証を医学物理士、放射線治療技師により実施し、医師の承認を経て陽子線治療が開始となります。
5.主な適応疾患について
脳腫瘍、頭頸部癌、肺癌、縦隔腫瘍、食道癌、肝細胞癌、胆管癌、膵癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮頚癌、子宮体癌、骨軟部腫瘍、転移性肺腫瘍、転移性肝腫瘍、転移性リンパ節 等  
6.治療期間について
陽子線治療の期間はがんの種類や照射する部位によって異なります。治療期間の短い場合は1週間以内、長い場合では2ヶ月程度かかることがあります。照射は月曜日から金曜日までの週5回を基本とし、祝日はお休みとなります。
通常、外来での治療が可能ですが、病状などによっては入院をお勧めする場合があります。
治療後は定期的に画像検査等を行い、経過観察を行います。経過観察を紹介施設で行う場合もあります。
 
ご不明な点等ございましたらお気軽にご相談下さい。
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