がんとは?

がんとは
1980年から日本人の死亡原因の第1位は、がんです。
現在年間約90万人の人ががんに罹患(2012年統計)し、約30万人の人ががんで死亡(2014年統計)しています。
2016年には罹患数は100万人を超えると予測されており、日本人にとって身近で問題となっている病気の1つです。
がんが発生する理由
人間の体は、約60兆個の細胞で成り立っています。
正常な細胞は各々役割を担っており、生体からの制御のもとに増殖・成長・細胞死(アポトーシス)して、正常な体の状態を維持しています。
しかし、何らかの外的・内的な原因で細胞の中の遺伝子が変化し、生体の制御を無視して増え続けるようになることがあります。この細胞を「腫瘍細胞」、腫瘍細胞によって形成された組織の塊を「腫瘍」と呼びます。
腫瘍は大きく「良性腫瘍」と「がん(悪性腫瘍)」に分類されます。
  • がん(悪性腫瘍)
    急速に発育し、更に周囲の正常組織に浸潤したり、血管やリンパ管などを介して体内のあらゆる臓器に転移することで生命を脅かす腫瘍。
  • 良性腫瘍
    ゆっくりと増殖し、浸潤や転移を起こさず、生命を脅かさないもの(脳腫瘍は発生部位によって生命を脅かすものもある)。
    例:子宮筋腫、卵巣嚢腫、髄膜種、がんの神経膠腫、血管腫など
検査・診断方法
がんの診断のために様々な検査が行われますが、ここではがんの診断においてよく用いられる「腫瘍マーカー」「画像診断」についてお話しします。
腫瘍マーカー
がん細胞が作る、もしくはがんの存在に反応して体内の正常細胞が作り出す物質を「腫瘍マーカー」と呼んでいます。血液や組織、尿や便を検査することで検出され、がんのスクリーニングや治療経過の指標として臨床で用いられています。
利点
  • 簡便な検査である。
  • 治療の効果や再発の判定に応用できる。
欠点
  • 腫瘍が「ある程度の大きさ」にならなければ陽性にならない。
  • 腫瘍があってもかならず陽性になるとは限らない。
  • がん以外の要因でも陽性の反応が出る(喫煙・食事など)
これらの特徴から、早期発見や確定診断には向いていないといわれています。
※前立腺がんなど一部を除く
画像診断
早期発見のための診断法としてよく用いられる検査です。
  • CT、MRI~主に組織の形態を観察する。
  • 核医学検査~がんの活動性(悪性度)を観察する。
ここでは、「核医学検査」についてお話しします。核医学検査は、放射性医薬品を注射し、その薬から放出された放射線を特殊なカメラで撮影し、画像・映像化する検査です。がん以外の病気の診断にも用いられます。
がんの診断で用いられる核医学検査には「骨シンチグラフィ」「陽電子断層写真(positron emission tomography:PET)」があります。
骨シンチグラフィ
主にがんの骨転移の有無・部位を調べる検査です。骨転移がある部位に放射性医薬品が取り込まれ画像に反映されます。
放射性医薬品が、炎症のある部分にも取り込まれやすいので、骨折や関節炎の診断にも使用されます。他に骨代謝が更新した部位にも取り込まれますので、画像を読影するときには専門的な知識が必要です。
陽電子断層写真(positron emission tomography:PET)
ブドウ糖の放射線医薬品(FDG)を用いた核医学検査(FDG-PET)です。がん細胞はブドウ糖をエネルギー源として強く必要としているので、FDGは正常細胞よりがん細胞に多く取り込まれます。そのため、正常組織より強く信号が出て画像に反映されるのです。
利点
  • がんの悪性度が画像でわかる(がん細胞に取り込まれるFDGの量は、がんの活動性に比例する)。
  • CT・MRIでは映らない1センチ程度の腫瘍を見つけることができる。
  • 治療効果の判定ができる。
  • 転移・再発の有無・部位の確認を1回の検査で行うことができる。
欠点
  • 炎症がある部位にもFDGは集積するため診断には専門的知識が必要である。
  • FDG-PETが診断に向かない疾患がある。(脳、腎臓、尿管、膀胱、早期胃がんなど)
がんの病期(ステージ)
がんの治療は、がんの広がりや進行状況、症状など病気の現状を踏まえたうえで、最も効果が高く、体への負担が少ない治療法を選択していきます。がんが体の一部にとどまっているか、広い範囲に広がっているか、その程度を表す方法として「病期」という指標を用います。
病期を決める要素や分類方法はがんの種類によって異なりますが、大きくは0(ゼロ)~Ⅳ期に分類されます。0(ゼロ)期に近いほどがんは小さく限局しており、Ⅳ期に近づくほどがんが広がった状態(進行がん)とされています。
診療の進め方
がんの病期に(ステージ)によって対処の方法やその結果は異なってきます。その状態にどの対応方法がよいか、その裏付けとなる非常に膨大な量の学術データやそれに基づく見解が文献として存在します。専門医はそれらの知識を統合したうえで、正しい根拠を持って、その患者様の状態と状況にふさわしい、ベストな治療方法と戦略を個々の患者様にご提案します。
しかし、実はどの臨床医も膨大な量のデータをひとつひとつ一人で検討するような時間はありません。そこで、膨大なデータに対して大勢の専門家がチームを作り、分担を決めて検討し、論議し、およそその国で適切と思われる診療基準といったものを作成します。このようにして、現場の医師が使いやすくするために作成されたものが、いわゆる「診療ガイドライン」です。
この診療ガイドラインは、それぞれの国のその領域の専門家が数年に一度編集しなおして更新し、都度公開されています。
私たちの施設では、そのようにして専門的な知識と診療ガイドラインに推奨あるいは許容されている治療方法、あるいはさらに良い可能性のある方法をすべて総合的に勘案し、日本中あるいは世界中の医薬と名医へのコンサルテーションも視野に入れ、個々の患者さんの全身状態や年齢・希望などを考慮し、それらをすべて満たすべく、医師・患者・家族で治療方針を相談して、適切な治療・管理の戦略を決定していきます。